茂市駅

山田線の駅、茂市の改札画像です。

駅名標。JR東日本有数の閑散路線である山田線の無人駅ながら、最新のLED吊下げ駅名標が設置されている。当駅はかつて岩泉線の分岐駅であったが、2014年の同線廃止に伴い山田線の単独駅となった。
現在不使用の1番線に設置されている自立式駅名標。盛岡方の隣駅表示がテープで目隠しされた形跡が見られるが、岩泉線の隣駅である岩手刈屋駅が表示されていたと思われ、同線の廃止に伴い目隠しされたものと思われる。
旧駅舎。開業当時からの重厚な木造駅舎が使用されていたが、老朽化に伴い2020年に新駅舎に改築された。
旧駅舎改札口跡。当駅は無人駅となっており、改札口は存在しない。2018年に岩泉線が自動閉塞となるまで、運転要員として係員が配置されていた。
旧駅舎の窓口跡は封鎖されていた。また、小さな本棚が置かれていた。
旧駅舎内部の待合スペースの様子
ホーム側から見た旧駅舎の様子
旧駅舎の上屋も趣深いものであった
旧駅舎のホーム側には「+救急」と書かれた木製の手書き看板など、もじ鉄案件が複数存在した。
当務駅長の看板。晩年は剥がれてかなり見難くなっていた。
消火器位置を示すホーロー看板。「消火器」の文字が上から目隠しされていた。
駅舎ホーム側に置かれたカーキャッチャーの裏には「逸走車両停止用具」と書かれた手書き看板があった。
跨線橋下の倉庫に設置されていた「担架」のホーロー看板。これらの看板は、全て旧駅舎と跨線橋、およびそれに付随する施設に設置されていたものである。駅舎改築が行われた現在、これらの看板がどうなったかは推して知るべしであろう。
旧駅舎とホームは趣ある雰囲気の跨線橋で結ばれていたが…
取材当時、跨線橋は老朽化に伴い使用停止され、封鎖されていた。また、主に岩泉線用として使用されていた1番線の番線標は、路線名表記が目隠しされていた。跨線橋も、使用停止後駅舎改築に伴い旧駅舎と運命を共にしたようである。
2・3番線側の跨線橋出入口。1番線側同様に封鎖されていた。
解体された跨線橋に代わり、現在では構内踏切が駅舎とホームを結んでいる。閑散路線で本数も利用者も少ないため、跨線橋を構内踏切に置き換えても安全面での影響は少なく、むしろバリアフリー対応ができて好都合だという姿勢が垣間見える。
ホームは2面3線となっており、列車の行き違いが可能であるが…
現在は島式1面2線での運用となっている。
岩泉線は駅舎側の1番線から発着していた。岩泉線廃止後は、当駅始発列車が使用していたが、自動閉塞使用開始に伴う合理化により、現在は使用停止された。
当駅から盛岡・岩泉方を望む。画像左奥にカーブしている線路が山田線、右側の草むらに向かって伸びる線路が旧岩泉線跡である。岩泉線の線路跡は雑草に覆われていることが伺える。
当駅付近の岩泉線廃線跡、画像は岩泉方から当駅方面を望んでいる。線路は一部残されていることが伺える。
同じ場所から岩泉方向を望む。岩泉方向は線路がかなり剥がされていることがわかる。雑草に覆われ、不自然に空いた空間のみがかつて線路があったことを示す生き証人となっている。

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所在地:岩手県宮古市
乗入路線
山田線

浅内駅

岩泉線の駅、浅内の廃駅画像です。

駅舎。当駅は岩泉線の中間駅であったが、2014年に同線の廃止に伴い廃止となった。当駅は廃止後も木造駅舎が保存されている。
取材時は駅舎内に立ち入ることもできた。かつて改札口があったと思われる箇所は、晩年は無人駅となり改札口は設けられていなかった。
かつて窓口があったと思われる部分。なぜか空き缶の入った袋が複数置かれていた。普段は住民のゴミ置き場として使用されているのかもしれない。
駅舎内には廃止後も危険品ご注意の手書き看板が残されていた。
また、国土美化のホーロー看板も設置されている。
駅舎内部には待合室が当時のまま残されている。待合室内には除雪機が置かれている。
ホーム側から見た駅舎の様子
ホーム・線路跡付近を望む。線路・ホームは残されているが、草に覆われており見え難くなっている。
駅構内の岩泉方向を望む。SL時代に使用されていたと思われる給水塔が残っている。このように、当駅は岩泉線の廃線跡において、木造駅舎・給水塔といった貴重な遺構が残る数少ない駅の1つである。興味がある方はぜひ訪れてみてほしい。

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所在地:岩手県下閉伊郡岩泉町
乗入路線
 岩泉線

岩手和井内駅

岩泉線の駅、岩手和井内の廃駅画像です。

駅名標。当駅は岩泉線の中間駅であったが、2014年に同線の廃止に伴い廃止となった。当駅は廃止後も駅名標が残されている。
駅舎。以前は木造駅舎であったが、2004年に現在の駅舎に改築された。その後、岩泉線は2010年に土砂災害で不通となり、2014年に廃線となったため、列車の待合所として使用されたのは僅か6年である。現在は代替バスの待合所兼レールバイクの事務所として使用されている。
駅舎内部の様子。前述の通り、現在も代替バスの待合所として使用されているため、駅舎内部にはベンチとテーブルが設置されている。
ホームは単式1面1線の棒線駅であった。線路は現在も残っており、線路上にはレールバイク用自転車の保管場所が新設されている。
レールバイクは当駅と隣の中里駅との間の線路跡を活用し、線路上を自転車で走行する体験ができる。当駅から中里・茂市方面の線路はレールバイクが走行するため、線路は除草がなされている。
一方、押角・岩泉方面の線路はレールバイクが走行しないため、茂市方とは対照的に完全に放置プレイされており、線路上どころかホーム上にまで草が生い茂る有様となっている。
かつて列車が走った線路は現在、列車の代わりに自転車が走っている。閑散路線の小駅に過ぎなかった列車運行当時よりも、観光地となった現在の方が、多くの人に利用されているのかもしれない。

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所在地:岩手県宮古市
乗入路線
 岩泉線

中里駅

岩泉線の駅、中里の廃駅画像です。

駅名標。当駅は岩泉線の中間駅であったが、2010年夏に発生した土砂災害の復旧費用が膨大であること、利用者数が僅少であることを理由に、同線が2014年に廃止となったことに伴い、当駅も廃止となった。当駅は廃駅であるが、駅名標は撤去されることなくそのまま残されている。
駅全景。当駅はホームと待合室があるのみの無人駅であった。不通から10年、廃止から5年以上が経過した取材当時においても駅設備は運行当時のまま残されていた。
駅入口の様子。取材当時、ホームは立入禁止になっておらず立ち入ることができた。
待合室内部の様子。当駅の待合室内には、岩泉線関連の看板が置かれている。
置かれている看板の中には、隣の岩手刈屋駅に設置されていた1種駅名標が含まれている。同駅は営業当時、立派な木造駅舎を有していたが、駅設備がほぼそのまま残る当駅とは対象的に、駅舎・ホーム・線路全てが撤去され、ほぼ更地となっている。
待合室内には、隣の岩手刈屋駅の国鉄駅名標も置かれている。木造駅舎・駅跡の解体・更地化は残念だが、看板がこのように保存されるだけでもありがたいものである。
岩手刈屋駅の駅名標は、待合室の窓際に立てかけるように置かれている。
ホームは単式1面1線の棒線駅で列車の行き違いは不可能であった。
当駅がほぼ営業当時のまま残されている理由として、岩泉線レールバイクの存在が大きいものと思われる。隣の岩手和井内駅を起点に、廃線となった岩泉線の線路を自転車で走行することができ、当駅が折返し地点である。ホームの端には当駅が折り返し地点であることを示す看板がある。
現に、レールバイクの運行区間であるか否かで、廃線跡の扱いも大きく異なる。レールバイクが運行されない岩手刈屋・茂市方面の線路は草が生え、駅横の踏切より奥の線路は撤去されていることがわかる。
一方、レールバイクが運行されている岩手和井内・岩泉方面の線路は、線路が撤去されることなく続いていることがわかる。レールバイクは4月〜11月までの土日祝日を中心に運行されており、1台2,000円で体験ができる。

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所在地:岩手県宮古市
乗入路線
 岩泉線

岩泉駅

岩泉線の終着駅、岩泉の廃駅画像です。
 
駅舎。当駅は岩泉線の終着駅であったが、土砂崩れにより同線は2010年8月から不通となった。復旧に際し、全国の鉄道路線で最も低い輸送密度であった同線の利用者数に見合わないほど莫大な安全対策費用を要することを理由に、当駅は2014年4月1日、同線の廃止に伴い廃止となった。
「岩泉驛」と書かれた石碑。岩泉線開通記念に設置されたものと思われ、日付は当駅まで岩泉線が延伸開業した1972年2月6日となっている。開業からわずか42年で、岩泉線は鉄路としての役目を終えることとなった。
駅前に掲げられている「岩泉町とその周辺」のイラストマップ。岩泉町と周辺の地図と龍泉洞、浄土ヶ浜といった名所のイラストが入っている。地図には鉄道路線も描かれているが、三陸鉄道が宮古ー田老間のみで「宮古線」として描かれているため、1972年の当駅開業当時の地図であると推測される。
駅舎内は封鎖されており、残念ながら中に入ることはできない。駅舎を回り込んでホーム側に向かうと、ようこそ岩泉へと書かれた手書きの歓迎看板が設置されている。無論、廃線となった現在では、岩泉を訪れた旅人がこの看板に出迎えられることはない。
駅舎からホームへ続く階段の様子
ホームは単式1面1線の棒線駅であったようである。画像は終点方向を向いているが、訪問時は8月末、かつて線路だった場所は草木で覆われており、線路が残っているかどうかなどは確認できなかった。
僅少な利用と災害が重なり、岩泉の地から岩泉線の鉄路は消えることとなった。岩泉線運行当時から、岩泉へは盛岡から直通のバスが1日4往復運行されている。県庁所在地・盛岡や龍泉洞へ直通するバスの方が、茂市での乗換が必要な岩泉線より遥かに便利であり、岩泉線は運行当時から岩泉の人々に必要とされていなかった鉄路なのかもしれない。
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所在地:岩手県下閉伊郡岩泉町
乗入路線
 岩泉線